第30回 「一期一会」
「一期一会」 野原神川
テレビタイトルの仕事をしていた私が一念発起して“岡本での一人暮らし肌を始めたのは三〇歳になる年でした。苦手な料理にも挑戦、食べ終わる頃には十時!という毎日。たまにはワイングラス片手にお酒落気分に酔った日も…。週に一度は実家(本山中町)に帰り翌日にも食べられるほどの手料理と笑顔の親達に支えられていました。そんな事らしに終止符を打ったのは、あの未曾有の阪神・淡路大震災、暮らしは一変しました。
そして今、両親と義弟を奪われた日から20年になろうとしています。「衆寡敵せず」ではありませんが、筆一本、箸二本でここまで生きてきました。九年前からは本山で書道教室(ぱく工房)、を開き「書」の楽しさを多くの方に広げて行こうとしております。書家として今日があるのは先輩や知人の皆様のお蔭と感謝し、青春でもあった岡本との縁を感じながら、いまも筆をとっています。