第52回 「岡本への想い」
「岡本への想い」 岡本2丁目 斉藤 裕子
先日の青峰さんの閉店に衝撃が走った。
物心ついた時から変わらなかった緑のテントにガラスドアに書かれた青峰の文字。
家族が集まる時はいつもこちらで、料理の味もさる事ながら家族の顔を見ながら円になって囲むスタイルが何とも言えない心地良さだった。その顔ぶれは、法事で集まった親戚で賑わう時もあれば両親とだけの時もあり、そして最近は亡くなった祖父母からバトンタッチして新しく生まれてきた甥たちが席を埋めてくれるようになった。大袈裟だけど、我が家の歴史が詰まっていたのだ。
30代も半ばになると近所で見かける同級生はかなり減り、岡本から旅立つ彼等を見送る度に生まれ育った場所にずっと留まっている事が悔しい様な、恥ずかしい様な、誰にも言えないけれどそんな風に思った時期がある。
けれど、私の歴史が、家族や友人たちとのひとつひとつの出来事が大切にこの岡本に散りばめられていることに今回気付かされた。
この街を大切にしたいと思う。