桜守公園と桜守会

桜守公園と桜守会         桜守会 田村 武正

阪急岡本駅の北側に小さな公園があります。神戸市所有の公園で、正式名称は「岡本南公園」と言いますが、地元の人たちは、親しみを込めて「桜守公園」と呼んでいます。
桜守公園は、水上勉の小説「櫻守」のモデルとなった笹部新太郎氏の邸宅跡で、昭和56年に公園に整備されました。兵庫県の天然記念物や神戸市の市民の木に指定されている「笹部桜」や「荘川桜」などたくさんの桜が植えられています。
笹部氏は、桜の研究、特に、日本古来種の保護育成に尽力し、「桜博士」と言われた人物です。笹部氏の功績として、岐阜県の御母衣ダム建設の際に、水没することになる樹齢400年以上のエドヒガンの移植に成功したことが挙げられます。この桜は後に「荘川桜」と名付けられました。
また、岡本の笹部邸の庭で芽を出した一本の桜は、東京農大の林弥栄博士の鑑定の結果、新種と認められ、昭和60年「笹部桜」と命名されました。
笹部氏は昭和53年12月に亡くなりました。笹部氏が亡くなる間際に、「屋敷の桜を是非残してほしい」と頼まれた友人達が神戸市に働きかけを行い、公園に整備されることとなりました。
さらに、平成元年、公園の南隣りの住宅跡にマンション建設計画が持ち上がりました。この時も地域住民が署名を集め、神戸市に公園拡張を働きかけ、実現。現在の姿になっています。
桜守公園の開園後、ボランティアで公園の清掃をしていた近所の人々が桜守会を結成して、30年前から活動しています。
主な活動としては、毎週日曜日の清掃、除草作業と、毎年4月の第一土曜日に、笹部桜のPRを兼ねた観桜会の開催です。
今年も4月5日(土)午後1時から観桜会を開催します。毎年の観桜会も年々盛況となり、地元はもとより遠方からも来られるようになりました。観桜会では花見団子や桜茶が振舞われます。
この他、笹部桜の普及を目的として、専門家に委託して、笹部桜の苗木の育成を行い、寄付金等の支援もいただきながら、神戸市内の小学校数十校への植樹の他、苗木を販売する活動も行ってきました。
30年以上に亘りお世話をしてきた桜守会のメンバーも高齢化し、今後は、後継者をいかに確保するかが課題です。

 

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