梅と桜と住民のおもい

■ 梅のちから

今年の梅まつりは、とても良いお天気で梅も満開、多くの方のご来場がありました。今回は、「梅まつり実行委員会」を立ち上げられ13年間実行委員長を務められた広岡倭氏と、その後、受け継がれ7年、現実行委員長の横山雅一氏にお話をお伺いました。

―梅まつり実行委員会は、どのようなキッカケで始まった、どんな方々の集まりですか?
2hirooka広岡 「21年前の1月、神戸の人々が罹災者となり、無気力になっていた中、次の月の2月、満開の梅に感動しパワーをもらいました。傷ついた心が癒されました。この梅の素晴らしい強さを地域の皆さんに見て欲しい! という思いから、梅まつりを企画しました。
梅まつり実行委員会の母体となったのは「岡本交友会」というコミュニティでした。岡本交友会は、岡本に住みながら岡本の歴史を知らない方が増えてきたことから、「地域のことを学ぼう」と平成元年に発足し、講演会を開催するなど活動していた地域住民の集まりでした。
梅が満開の時は1年で一番寒い時です。友人の沢の鶴の西村隆治社長にホッとする甘酒をお願いしたところ「杜氏が造る甘酒」を飲んでもらおうと快く引き受けてくださり、千人分の振る舞い甘酒が用意されました。今ではそれが目当て? の方々が大勢おられます」

―第一回開催に当たってのご苦労とその時支えられていた思いとは
広岡 「震災の翌年の2月から「岡本交友会」のメンバーを中心に、仲間が費用負担をし、ポスターは地元の画家の(故)戸澤正雄先生がつくってくださり、文字通り手作り手弁当ではじめました。
梅まつりを単にイベントということで終わらせたくないという思いが強くありました。、先人たちがつくってくれた地域の歴史の積み重ねにより育まれてまれてきた地域性・地域柄を梅のちからを中心にして受け継いでいきたいという思いが強くありました」

―次に横山氏が引き継がれましたが、そのキッカケは?
2yokoyama横山 「鎖瀾閣プロジェクトの破綻後、岡本公園を今一度見直した時「どんな形が望ましいか、この公園が地域貢献できることはないだろうか」と考えている矢先、広岡氏より「梅まつりの実行委  員長を引き継いでほしい」との申し入れをいただき、微力ながら引き受けさせていただくことにしました」
―現状はいかがですか?
横山 「今年の来場者は3500名を超え、岡本の春の行事の一つとして広く認知されるようになりました。
平成23年度から3年間と平成26年度は、区や県の助成をいただくことができましたが、今年度から、全て関係者の善意の奉仕のもとで実施しました」

―これからの大変なヤリクリのなかで将来の夢と抱負をお聞かせください。
横山 「現在193本の梅の木を250本に増やすべく企画書を作成して神戸市に提案していくつもりです。また、観梅者の方々のもっと興味と関心と満足度を高めるために樹名札の完備・園内の  案内板も増やしていきたいと思います。来場者の47%が高齢者という結果もふまえ、ベンチ等も増やしてもらえるように働きかけています。観梅の時を楽しく豊かにピクニックのような場所にしたいと考えています。
これからますます地域行事、住民イベントとして育てていくため、地域の皆さんに、何らかのかたちで参加していただければ幸いです。一ヶ月前から梅まつりの告知とお手伝いの参加を呼びかけています。今後ともご協力のほどよろしくお願いいたします」
(聞き手 橋谷 惟子)

 

笹部桜■ 桜のこころ

阪急岡本駅の北側に、櫻守公園という小さな公園があります。「桜博士」と呼ばれ、水上勉氏の小説「櫻守」の登場人物のモデルになった、笹部新太郎氏の邸宅跡などが、公園として整備されたものです。
毎年四月の第一土曜日(今年は四月二日)、ここで観桜会が開かれます。長年、そのお世話をされている、桜守会の田村武正・郁御夫妻に、お話を伺いました。

―今年も桜の季節がやって来ました。
郁  「先日、新聞に『桜は人生を彩り、励ます節目の花』とありました。日本人 にとって、桜は特別な思いのこもった花だと思います」
武正 「笹部氏は、桜の研究、特に日本古来種の保護育成に尽力された方です。有名な大阪造幣局構内の「通り抜け」の桜の管理指導を含め、その功績は枚挙に遑がありません。桜に生涯をかけた笹部氏のような方が、この岡本に住まわれていたことを、多くの人達に知っていただきたいと思います。笹部氏は昭和五十三年に亡くなりましたが、没後、笹部氏の友人達の働きかけで、邸宅跡は、神戸市により公園として整備されました。平成になってからは、地域住民が署名を集め、神戸市に公園の拡張を要望して実現。今の姿になりました。多くの人達の尽力によって実現した公園なのです」
郁  「公園開園後、ボランティアで公園の清掃をしていた近所の人達が、桜守会を結成して今年で三十五年です。この間には、笹部桜の普及活動も行ってきました。毎年の観桜会には、多くの方々が、地元はもちろん、遠方からも来場されます」
武正 「みんなで静かに和やかに、花そのものを愛でる、本当に品の良い会だと思います」

―花見団子の振舞に大道芸、野点も恒例になっていますね。
郁  「大道芸は、東灘区のボランティアセンターから紹介していただいた人達、野点のお世話をしてくださるのは、甲南大学の茶道部の皆さんです。お知らせのポスターは、知り合いの小学校の図工の先生に描いてもらっています」
武正 「観桜会は、甲南大学はじめ、商店街や御縁のある皆さんからの御寄付などで運営しています。また、観桜会は年に一度ですが、桜守会としては、毎週日曜日の朝、櫻守公園の清掃をしています」

3tamura―たくさんの人達の協力で観桜会が催され、 公園が美しく保たれているのですね。
郁  「地域の皆さんや神戸市とも協力して、ここまでやってきましたが、メンバーも大分高齢化してきました。これからは若い人達にも活動に参加していただきたいですね」
武正 「みんなで公園を守っていけば、年に一度の観桜会も、より地域に密着した意味深いものになると思います。老齢化した桜の保護とともに、今後の課題ですね」

※笹部桜・・・岡本の笹部邸で芽を出した桜の新芽。

桜守会では公園の清掃ボランティアを求めています。活動に興味のある方はどうぞ田村さんまでご連絡をください。
TEL078-411-6006

 

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